令和7年も年の瀬を迎えております。
弊所にとって本年を漢字一字で総括するとすれば、「働」という字です。
職業柄、仕事と向き合う時間は長いのですが、本年は特に働いて働いて働いたという思い出です。もっとも、それでも全ての仕事をやり切れたわけではなく、却って積年の疲れの影響からか、11月中旬に風邪を引いた後の咳き込みが悪化の一途をたどり、10年ぶりに内科の先生にお世話になるに至りました。ライフアンドワークバランスを意識しないといけない人生の分岐点なのかもしれません。
事件を振り返りますと、民事事件では、例年になく尋問期日が多い年になりました。尋問期日とは、当事者や証人が証言台のところで代理人弁護士や裁判官からの質問に答える手続を意味しますが、民事裁判で尋問期日を開くことは、実際には少ないです。というのは、裁判が進んでいくと一定程度は判決の予想が付くため、早期解決やリスク回避等の当事者双方の思惑から、多くの事件では和解で終了します。また、判決になる事件でも、そもそも事実関係に争いがない事件や尋問の必要性がない事件もあります。そのため、私の場合は、尋問期日はこれまで年1回程度でしたが、本年は6回もあり、それだけ民事裁判の取扱いが多かったという感想です。
また、刑事事件では、11年ぶりに裁判員裁判を担当しました。超大型の事件であったため、10月は私が事務所を終日不在にしていることが多く、依頼者の皆様や相談を希望されていた方には大変ご迷惑をおかけいたしました。刑事弁護は、偏見の下に刑罰が科せられないように、被告人を守る仕事を担います。裁判員裁判の対象となる事件は、重大な犯罪であることが前提になります。その中で、被告人の側から見た事情をいかに裁判の場で表すか、裁判員の方の心に伝えるかは容易なことではありません。今回の裁判では、その難しさを改めて実感させられました。
以上、本年は裁判の印象が強く、「働」の一年でした。
来年も変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします。

